子供の時間

 久しぶりに亡妻の実家に顔を出してきました。二人の姪と一人の甥が大騒ぎしていて義母や義妹とはほとんど話もできませんでしたが、ほんの少し時間が共有できてよかったです。
 すぐそばだっていうのに足が遠のいていたんですね。下の姪と甥はわたしをすぐにはわかってくれませんでした。ちょっと哀しかったです。もう少し、顔を出しておかないといけませんね。
 上の姪の方は「かずくん、こんばんは」と声をかけてくれてほっとしたんですが、急に「今日は恵美ちゃんは?」と聞いてきたので、驚いてしまいました。彼女だけが妻の恵美子の生前を知っているわけですが、それも四年以上も前のことです。久しぶりに訪れたわたしの顔を見て、急に恵美子のことを思い出したんでしょうか。姪にとって、数ヶ月前も、数年前も、久しぶりということに違いはないのかもしれません。

「恵美子はね、おねんねしてるんだよ」
「おうちで?」
「うぅん、おはかで」
「おきてこないの?」
「そうだよ」
「ずぅっとなの?」
「ずぅっとだよ」
「ご飯も食べないで?」
「そうだね おはかの中じゃおなかはすかないんだ」
「ふぅん」

 恵美子がどれだけ君が生まれてきたことを喜んでいたかということを、話せるようになる日はそんなに遠くないんだろうななんて、ふと思っていたりしました。